司会者が気になる「させていただきます」問題

敬語

今回の内容は開始の挨拶についてです。
前回の記事をまだ読んでいない方は、ぜひご一読ください。

セミナーや司会は最初の挨拶で言語レベルがわかる!?

 

セミナーや司会の冒頭で一番多いと思う挨拶が
「只今からセミナーを始めさせていただきます
講師を務めさせていただきます、高山かずえと申します。」
これを聞いて違和感は感じませんか?
感じない人の方が多いだろうというのが、さらに問題だと考えています。

一つ目の問題は(メルマガにも書きますが)同じ言葉を繰り返すこと。
2文、句読点を入れても47字の中に「させていただきます」が2回。
これだけで18字使っているんです。くどくないですか?
そして喋るのに9秒かかるんです。式典司会は一文の秒数にもこだわります。

そして問題なのは「させていただきます」の使い方なんです。
先日行ったセミナーでも、どうしてもこれを伝えたくて一番時間を割きました。
★セミナーを受講された方は復習として読んでくださいね。
でもアンケートには「させていただきます問題、違和感があったのでスッキリしました」
「勉強になりました」とのお声を多数いただいたのです。
まず声を大にして言いたいのは【違和感があることば】は使わない方がいいということです。
自分で「おかしい」と感じることばは相手もおかしいと思っていたりするのです。
ただ、絶対ではないので「自分で調べる・確認するクセをつける」ことは大事ですよね。

では、何が問題なのか。

①「させていただく」の使い方について
実は文化庁が2007年に文化審議会答申を発表しています。
その中の「敬語の方針」で「させていただく」の使い方について定義しています。
「敬語の指針」はこちらからダウンロードできます。
(略) 「 お・ご)……(さ)せていただく」といった敬語の形式は、基本的には、自分側が行うことを、
ア)相手側又は第三者の許可を受けて行い、
イ)そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合に使われる。
したがって、ア 、イ)の条件をどの程度満たすかによって
「発表させていただく」など 「…(さ)せていただく」を用いた表現には、
適切な場合と、余り適切だとは言えない場合とがある。
★原文表記では読点を「,」で表記していますが「、」に変えています。
★個人的には読点の数が多すぎると感じていますが原文のままにしています。

つまり「講師を務めさせていただく」のは、
ア)主催者の許可を得て、イ)自分に恩恵があるということを前面に出したいならいいのでしょう。
ですがセミナーの開始まで上記の気持ちを参加者にいちいち伝える必要があるでしょうか。
どうしても「させていただきます」と言いたいなら、どちらか一つでいいのではないでしょうか。
さらに、これが自主開催セミナーならどうでしょう?
お客様から頼まれたわけでもないことの方が多いと思うのです。
こちらが【勝手に】開催するセミナーに来てもらうわけです。
ならば「させていただきます」はおかしくないでしょうか。
なにより司会の場合、自己紹介に余分な文字数を使うことの方が失礼だと思っています。
1文字でも削って、他の方のための時間を作る方が大事だというのが私の意見です。

②二重敬語問題
今回は該当しないのですが、私はこちらの方が問題だと思います。
「させていただく」は「させてもらう」の謙譲語です。
これが、使うことばによっては二重敬語になるのです。
たとえば「拝見させていただきます」の場合。
「拝見させていただく」は「拝見する」と「させていただく」の複合動詞です。
そして「拝見する」は「見る」の謙譲語です。
つまり二重敬語になってしまうのです。
では、なぜ二重敬語がいけないのでしょうか?

それは戦前多重敬語が許されたのは皇室のみだったからです。
特に「あそばされる(する の上位表現)」「あらせられる(いらっしゃる の上位表現)」等があります。
実はよく使われる「賜る」も皇室敬語なのです。
ですから基本的には使わない方がいいでしょう。
なのですが、私はデビュー当時ずっと使っていました。
事務所の社長も使っていたので、何も考えていませんでした。
するとある式典の終了後、大学教授の方が
「君、賜るって皇室敬語とわかって使ってるのか?」と聞いてきたのです。
もちろん不勉強をお詫びし、その際に二重敬語についても教えていただきました。
それから私は一切使っていませんし、事務所でも使わせません。

なにより「させていただきます」って言いにくくないですか?
最初にも書きましたが、違和感があることばだけでなく、言いにくいことばも使わない方がいいと思います。
言いにくいことばは「噛む」んですよ。
私はサ行が得意ではないので一層「させていただきます」は使わないのです。
更に余りに丁寧すぎても慇懃無礼になることもあるのです。

「始めさせていただきます」「務めさせていただきます」より
「始めます」「務めます」の方が言いやすいし聞きやすくないですか?

私はセミナーや研修では丁寧語が基本です。
長丁場だからこそ、スッキリとしたことばが聴きやすいですよね。

開始の挨拶も「只今からセミナーを始めます。講師の高山かずえと申します。」
だと句読点を入れて29字。約5秒なので、これだけで4秒も短縮・節約できるのです。
こうしてことばを削って1分・2分と時間を作っていくのです。

司会者でない方も喋る時間を意識すると、ガラッと話し方が変わりますよ。

今日のまとめ:「させていただきます」は使い方に気を付ける。

 

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